■Sure Shot Structures × DJ MURO “Q from A”スペシャルトーク 2/3
「SSSボックス」のコンセプト「音楽をより豊かに楽しむ=聴覚だけでなく視覚からも音楽を楽しむ」を元にDJの皆さんやアナログレコード愛好家の方々をゲストにお招きし、お気に入りのレコードと、「SSSボックス」にまつわるトークを対談形式で展開する企画。
トークゲストにKING OF DIGGIN’ ことDJ MUROさんをお呼びし、前回はレコード5選のコーナーを中心に展開しましたが、今回はまたMUROさんについてぐっと深堀りする内容になりました。伝説的MIX TAPE「KING OF DIGGIN’」がいかにレコードディグカルチャーの歴史を変えたかなどここまで具体的なトークはXXXL並に超貴重。ウルトラレアなインタビュー第2回!!MUROさんとのQ from A。是非ゆっくりとお楽しみください!
■ TOKYO FMのラジオプログラム 「MURO PRESENTS KING OF DIGGIN’」について
Kuma :ラジオプログラム「KING OF DIGGIN’」をいつも聴かせてもらってます。現在まで長くやられてますが、これから先もまだまだずっと続けていただきたいです!
MURO :そうなんですよね〜 最初は3ヶ月って言われたんですけどこんなに長く続くとは思ってなかったですね。4、5年ですかね?
Kuma :2018年から続けてらっしゃるので5年目ですね。 ちなみに今回のインタビューもあったので放送回を全てチェックしてみたんですけどジャケットに関する特集はかなりやられてますよね?
MURO:全ては凄いね(笑) そうなんですよね〜
Kuma:最初は「食欲の秋」などの季節ジャケ、「美女ジャケ」、「波ジャケ」、最近では「帽子ジャケ」と縛りシリーズがかなり続いてますよね。
PoLoGod. :放送日の数字にかけたりして、何々の日とかに絡めたりだったりするわけですよね?
MURO :ミーティングでいくつかアイデアを出してくるんすよ。この中で何か良いのありますかみたいな感じで。その中から選ぶような形なんですけど、無い場合はこっちからも提案する時もあるんですけど、今のところ放送に間に合わせて続けていけてますね。
Kuma :振り返ると改めて凄いですね。「漫画ジャケ」、「夜景ジャケ」、「子供、船、バイク、山、靴、、、」こんなこと他にやってる人いるんですかって思います(笑)
PoLoGod. :(笑) MUROさんにはm(Manhattan Records)にもよく来て頂いてるんですが、「今日は何のジャケをお探しですか?」、「鳥ジャケですね〜」 なんてやりとりもあるんで普通になっちゃってるんですが。通常はクマくんみたいな反応なのかもですね(笑)
MURO :そうだね〜 マヒッちゃってるね〜(笑)
Kuma :ちなみにラジオの1回目の放送の1曲目が「Edna Wright/Oops! Here I Go Again」から始まるのですが、そのEdna Wrightの話が、たくさんあるレコードディグに関するいい話の中でも最も好きな話の一つでして〜
MURO : へぇ〜 すごいね〜 DEV LARGEと右と左から掘り始めるっていうね(笑)
Kuma :はい。1回目の放送で、まさにその時に掘り当てたレコードを使ってプレイしてるみたいな話をされててそれがすごく好きなんですよ。
MURO :そうやって喜んでくれる人がいるのは嬉しいね〜 DEV LARGEが教えてくれたおすすめのディーラーのところに行って、右と左に分かれて掘り始めて僕の方が先に良いものを見つけちゃって、すげー機嫌が悪かったなぁその日(笑)。その後にチキンをご馳走したら機嫌が良くなったけど(笑) こんなこと言ったら怒られちゃうかな〜
■伝説のミックステープ「KING OF DIGGIN’」(1995~)について
Kuma :その頃は「KING OF DIGGIN’」のミックステープを出す前、後でしたか?
MURO :94〜5年なんで同時期ぐらいかもしんないですね。「KING OF DIGGIN’」の1番に入ってるってことは多分それぐらいってことですかね。
Kuma :最初に「KING OF DIGGIN’」を出された時のお話を伺いたいのですが、世界中で自分しかやってないっていう意識があったのですか?
MURO :うん、うん、そうっすね。
Kuma :なるほど。元ネタ(サンプリングソース)をまとめるって作業は世界的に同じことをやってる人は他にもいたんですかね?
MURO :うん。KEN SPORTくんも早かったんですよ。KENくんのその後にKON&AMIRの「ON TRACK」があって、あとSTRETCH ARMSTRONGがラジオの中で、短いですけど20分ぐらいのコーナーがあったんですよね。
Kuma :世界同時多発的に出てきたんですね。
MURO :多分そうなのかもしれないですね〜
PoLoGod. :そこに興味を抱いたっていうのは、90年代になってヒップホップ自体がレコードのメロディからサンプリングするようになって、それまでのネタと言えるものはJBや王道FUNKのドラムブレイク中心だったところをDE LA SOUL、TRIBE(A TRIBE CALLED QUEST)とかPETE ROCK & CL SMOOTHだとかがJAZZ だったり70’S SOUL、広く言われているいわゆるレアグルーヴを使うようになったというところがHIPHOP DJ的には気になったんでしょうね。
MURO :そっか、そっか〜 確かにそうだよね〜
Kuma :やっぱり僕なんかはあれからずーっと呪われてる感じがしますよね(笑)勿論良い意味で。
MURO :呪われてる。。なるほど。そうだよね〜 (笑)
PoLoGod. :呪われてるって表現も凄いですね(笑)
Kuma :はい良い意味で。 MUROさんのMIX TAPEに導かれ続けてますから(笑)
PoLoGod. :そこは影響を受けたでいいじゃないですか(笑)
一同 :笑
MURO : おとついも某レーベルで取材があって、そこのPRの人と話してたら「KING OF DIGGIN’」のインデックスを今現在作ってると言ってましたね〜 。K PRINCEっていうニュージャージーの友達が昔やってたから持ってますよ〜とか言ったら、「いや、もうちょっとなんで自分で調べます!」って。挑戦してるみたいですね〜
Kuma : いい話ですね〜!僕もこの機会にミックステープ「KING OF DIGGIN’」を持ってきました。偶然、サイン繋がりのレコードを紹介して頂いたので、サインをお願いしてもよいでしょうか?(笑)やっぱり「KING OF DIGGIN’」の1番とか2番は、擦り切れるほど聴いたので3〜4本目だったりしますが。
MURO :うわ〜そうか〜 それは嬉しいなぁ〜
PoLoGod. : このテープからクマくんはサンプリングソースを集めはじめて、サンプリング研究生みたいになったわけですからね。
Kuma : 世界で初めての試み、誰もやってなかったことをやったっていうのが、当時のMUROさんの熱量みたいなのが凄かったんだろうなと思いますね。同時に楽しかったんだろうなぁ・・・とも思います。
MURO :本当にそうなんですよ。
Kuma :その当時はきっと安くて良いレコードがいっぱいあった訳じゃないですか?掘るのがすごく楽しかったんじゃないかなと思います。
MURO :そうだね〜 楽しかったね。あとは、英語を喋れなかった。そこが逆に面白かったんだと思うんですよ。それで会話をするじゃないですけど、ミックステープを一聴しただけでみんなもうこの辺わかってんだろうなっていう前提で喋ってくれるので、それが面白かったですね。だから海外のレコ屋行っても楽しかったね〜
PoLoGod. :なるほど〜 やっぱり世界のレコ屋さんに大きな影響を与えていたってことですね〜 向こうのレコ屋さんがレコメンのレコードをバンバン出してくるみたいな感じですかね?
MURO :そう、そう。結構、挑戦的な感じで、”これ知ってっか?”みたいに曲をかけてくるところもありましたね〜
PoLoGod. :コミュニケーションが取れなくてもレコードを通じて会話ができちゃってるっていうのは独特ですね。
MURO :韓国のレコ屋さんに行った時びっくりしたのは、もの凄い知識量なんですよね。”こういうの大好きだよね?”みたいな感じで曲をかけてくれて3、4曲立て続けに全部気に入っちゃいましたね。それは韓国のサントラのレコードだったんですけど、もう好きなところはバレてるんだろうな(笑)
Kuma :やっぱりその方はMUROさんのMIX TAPEを聴いてた方なんですか?
MURO :本人に聞いたらやっぱ「KING OF DIGGIN’」の2番目とか3番目がすごい好きで聞いてたみたいですね。
Kuma :僕らがお世話になっているBEN THE ACEさんにもミックステープ「KING OF DIGGIN’」のリリース時の話を聞いたことがあって。。
MURO : BENちゃんがこのインタビュー出たら凄い気になるな〜 ニューヨーク行ったことあるしねSpellboundの話もあるし、是非やって欲しいなぁ〜(笑)
※BEN THE ACEさんのinstagramより↓↓
Kuma : 僕らからも是非お願いしたいですね(笑) 話を戻しますが、BENさんは「あのテープ1本でMUROくんが世界のレコードゲームを変えたんだよ」って言ってて、すごい話だなと思って。。痺れましたね。。
MURO :えー(笑) なんて事を言ってるんだBENちゃんは(笑)
PoLoGod. :MUROさんは謙遜なさるけどこれは本当の事ですからね〜
Kuma :MUROさんは4回ぐらいレコードの価値とかディグの価値観を変えてると思うんですよ。「KING OF DIGGIN’」に「DIGGIN’ ICE」「DIGGIN’ HEAT」、次に「SUPER DISCO BREAKS」でもレコードの価値というか、レコードの再提示も含めて何回もそのタイミングがあったと思うんです。
MURO :たまたまその時期にレコードがREISSUEしてたりとかそういうタイミングが繋がったりするケースは確かに多いかもしれないですね〜 今回のWILD STYLEもMr.BONGOからRECORD STORE DAYで出てたじゃないですか?
PoLoGod. :確かにそうですね!それもだって別に合わせたわけじゃなく偶然そうなってますもんね。面白いもんですね〜
MURO : そうそう、繋がるんですよね〜
■MUROさんのミックステープが与えた影響
PoLoGod. :僕は、MUROさんからの影響の受け方ってまたクマくんとはまたちょっと違うんですよね。クマくんはサンプリングネタの方向に行くんだけど、僕はもう完全にDIGGIN’の道に入るんですね。レコードそのものに。ヒップホップのサンプリングソースっていうよりは、初期のBEATNUTSみたいにレコードとかサンプルのネタを提供するネタ師になりたいと思ったんです。
MURO :ヘェ〜 なるほど。
PoLoGod. : MUROさんのミックスの世界を聞いてそう思った。このミックスに入ってない、まだ使われていないレコードを掘ってレコメンする側に。で今があるんです(笑)
MURO :今があるって(笑) そうなんだね〜
PoLoGod. :いずれはMUROさんにもオススメする様な存在になるぞって(笑)
MURO :いやいや〜いつもおススメしてもらってるじゃないですか〜(笑)
PoLoGod. :実際にそれぞれの影響の受け方が同じようで違うっていうか、単純にミックスの世界が好きって方も多いし、HIPHOP、SOUL、FUNKもDISCOも和モノも人それぞれに影響を与えてるっていう意味で本当にゲームチェンジャーですよね。値段だけじゃなくて世界のレコード事情そのものを変え続けてるんだと思います。
MURO :そう言ってもらえて嬉しいな〜
■鳥肌が立つほどの歴史的行動
PoLoGod. :加えて話すと、MUROさんのことを突き詰めて考察していった結果、MUROさんが、あるタイミングである行動をとってなかったら今のレコードカルチャー自体が存続してなかったんじゃないかって鳥肌が立つことがありまして。。
MURO :ねぇ〜 この前ヨコくんとの立ち話で言ってたKRUSHの話とか〜。俺、アレを言われてちょっとびっくりしたというか、KRUSH POSSEの解散がなかったら今みたいになってなかったって話ですよね。
PoLoGod. : そうなんです。DJ KRUSHさんのマネージャー、浅野さんのYOU TUBE チャンネル「RADIO JAG」のMUROさんの回を車で聞いててそこに行き着いたんですよね〜
MURO :浅野さんからは「あんたのせいだよ」みたいな感じで言われましたけど(笑)
一同 : (笑)
PoLoGod. :KRUSH POSSEが解散した理由の一つにきっとMUROさんの中になにくそって精神があった気がしてて、そこからMUROさんがMICROPHONE PAGERしかり、レコードのDIGGINに集中したことで、今のこのレコード・カルチャーが残ってるのかもなぁ〜と思ったということなんだけど。
Kuma :確かに! 違う歴史になっていたかも。
PoLoGod. :違う現在を考えたときに、ゾッとしたっていう(笑)
もう本当にマニアックな話だけどね。今を生きててそんなこと考える必要ないんだけども、考えちゃうと鳥肌もんになったっていうことですね。
Kuma :KRUSH POSSEを解散して、自分で誰もやっていない新しくて当たり前でないことをやろうって始めたのが、今に繋がってるんですよね。
MURO :それはヨコくんに言われるまで1回も考えたことなかったですね〜(笑)
PoLoGod. :その対談の中でも言われてましたが今後DJ KRUSHさんとも何かやれたらなんてお話ありましたが実現しそうですか?
MURO : タイミング次第ですけどKRUSHとはずーっと何かやりたいとは思ってますね〜
■DJ KRUSHさんとのストーリー
※MUROさんのinstagramより↓↓
Kuma : トークの序盤に戻る話にはなりますが、僕と横尾くんがレコードを紹介し合う対談を最初に載せたんですけど、その際に紹介したDJ KRUSHさんの2ndアルバムのアートワークを手掛けたのがFUTURAでしたが、今回もMUROさんの紹介してくださったレコードにもFUTURAがありました。やっぱり同じ様に思い入れはあるんですかね?
MURO : そうですね〜 やっぱWILD STYLEとFUTURAは僕もKRUSHもやっぱり思い入れがありますね。
PoLoGod. : その当時にKRUSHさんとビデオを一緒に観たこともあったりしたのですか?
MURO : いやぁ〜 ありましたね〜 やっぱりこれしか情報源がないんで、巻き戻し、一時停止は結構しましたね(笑)今考えるとKRUSHもある種、FUTURAをヨーロッパにも広め直してますよね。
PoLoGod. : そうですね!DJ KRUSHさんだけが知れ渡った訳ではなく、Mo’Waxの影響もありますがHEADZムーブメントの中でFUTURAも世界で再熱したのは間違い無いですね。そう考えるとまた歴史的な話ですね!とても深いです。
~~追伸~~
今回、Edna WrightのレコードやMUROさんのMIXTAPEと一緒に映ったSSSボックス(SSS-500)ですが、ロシア原産の木材の調達の都合で、残り10セット⇒ラスト1セットとなりました。今後は材質や塗装仕上げなど意匠感が変更になります。現行品を気にしていただけた方、お早めにご検討いただけたらと思います。