「SSSボックス」のコンセプト「音楽をより豊かに楽しむ=聴覚だけでなく視覚からも音楽を楽しむ」を元にDJの皆さんやアナログレコード愛好家の方々をゲストにお招きし、お気に入りのレコードと「SSSボックス」にまつわるトークを対談形式で展開する企画。
第1弾=DJ MUROさん、第2弾=DJ TSUTCHIEさんに続き、ここから数回はDJ、レコードコレクター、選曲家、サウンドエンジニア、様々なフィールドで活躍する盟友数人が続きます。
第3弾となる今回は我々のフェイバリットDJ。都内のクラブのみならず配信を軸にDJ活動を精力的に続けるudasoulさんをお呼びしました。
udasoulさんの人柄があふれる内容で、すぐにTWITCHでのDJ配信が見たくなるようなインタビューとなりました。
是非お読みください!
-リビング、レコード収納へのこだわり-
全員:よろしくお願いします!
PoLoGod.:まずはSSSボックスですが、ここにあるSSS-700のナチュラルウッドをudasouくん(以下uda)lはご購入くださったんですよね?
udasoul:うん
PoLoGod.:このタイプを選んだ理由とかありますか?
udasoul:理由はね。ここに住み始めるタイミングでフローリングの感じと合わせてコンパクトな収納が欲しくて。しかも床の色と家具がマッチするものを選びたかったから、これにしました。
Kuma:実はudaくんがSSSボックスを最初に購入していただいたお客様でして。横浜レコードマーケットに参考展示という形で出展させてもらったのを見ていただいて、『僕のレコード部屋だったらこれがいいかなぁ』と選んでいただいた経緯がありますね。大変ありがとうございます!
Kuma:ミックス配信でもおなじみのDJブースとのマッチングもバッチリかと!
udasoul:そうそう。うちの家具も棚もフローリングもナチュラル系の木調で揃えていて、勿論DJブースともマッチするという理由で選びました!
PoLoGod.:機能面ではどうですか?ジャケットをディスプレイできたりとか、キャスターが装備されていたりとか、SSSボックスには他にないユニークな特長もあると思うんだけど、使用してみてのその辺りの印象とか感想とかありますか?
udasoul:これはね、僕は絶対的に床レコードが増えちゃうのがあって(笑)。ここでDJ配信をしているとどうしても床に散らばるし、ブースに立てかけるレコードが増えちゃうんですよ。いつの間にか散らかってる。床レコードはみんなもそうだと思うんだけど、100枚とか・・今、よく聴いているものとか、次の配信でかけようとしてるものとか、ついつい床に置いちゃうでしょ。それを納められて、移動も楽だし掃除もしやすいし、部屋がすごくすっきりするし、すぐに手元に取れるし。その辺りが買ってよかった点ですね。
Kuma:100枚ほど入るストレージとか箱があったら、まあレコード100枚分の重さなんで、結構移動するの大変(笑)キャスターがあると楽ってのはそれはuda君に言われて、当たり前なんだけど、改めてそうだな、と
udasoul:キャスターはすごい重宝する。で、これめちゃくちゃ動きもいい。
Kuma:ありがとうございます。木の自重もあるし、レコード80枚とか詰めたら3~40kg位あるし、フローリングだったり、カーペットだったり、畳だったりコンクリートだったり、、いろんな環境を想定して動きが一番スムーズなものという観点でこの球状のキャスターを採用しています。その点を評価いただいて本当にうれしいです!
udasoul:使ってしばらく経つけど木のカラーがほんとよくて。
Kuma:木製のSSS-700,500は天然木素材を使っているのもポイントで、udaくんの様に拘って家具もフローリングもコーディネートしてチョイスしているお宅には天然木が合いますよね。どうしても印刷シートの木調のものだと風合いが不釣り合いだし、劣化するし。と思っています。
PoLoGod.:udaくんのinstagramではレコードジャケットをディスプレイして、その上にお酒を置いてデスクとして使い、リラックスした写真をあげてくれていましたが、主にそういう使い方もしてくださっているんですかね?
udasoul:そう。のんびりテレビ見るときとか、テーブルとして使ってます。サイドテーブルとしてもめちゃくちゃいいですよ。
PoLoGod.:このリビング、レコード部屋に対するこだわりみたいなそういうのを教えてもらえますか?
udasoul:もともとこの部屋って間仕切りがあって2部屋に分かれてたんだよね。リビングともう一部屋って感じだったと思うんだけど。リフォームする時に、その間仕切りの壁を取っ払って”広い空間で音楽を聴きながら過ごすような広いリビング”が一番気持ちいいだろうなぁと。
あとちょっと自慢になっちゃうかもしれないけど(笑)スピーカーもレコード棚の裏に配線通してるんだよね。レコード棚の一角にスピーカーを置いて、配線は裏から通して、がちゃがちゃしない様にすっきりさせて、レコード棚と壁の間には吸音材を仕込んで、とにかく”音楽を気持ちよく聴ける部屋”を作りたかったんだよね。
PoLoGod.:なるほど。この壁一面のレコード棚は圧巻です!棚の1マスの幅だったり高さだったりとかは指定した感じですか?
udasoul:それはね、デザイナーさんにお任せでしたね。LandscapeProuctsのデザイナーさんがたまたまレコード好きの方だったっていうのもあって完全にお任せした。
PoLoGod.:天井の高さとレコード棚の高さはある程度決まってくる中、これだけぴったりハマるのはすごいね!
udasoul:できた時は感動しましたね!このDJブースも作ってもらったんだけど、ターンテーブルの高さがどれくらいとか、7インチも収納したいとか指定させてもらって。実は7インチのケースは全部出したいときに引っ張り出せる。
PoLoGod.:なるほどー!そしてこのブースで夜な夜な配信していると。
Kuma:ちなみにこの什器は?
udasoul:それはひよこレコードにあったやつなんですよ。下北沢のお店を閉店されたときに譲っていただきました。
PoLoGod.:この什器にディスプレイするレコードを選ぶような楽しみもありますよね。
udasoul:ありますねー
PoLoGod.:今はこだわりぬいて本当にバッチリな内装ですが、若い頃のレコード収納方法はどんな感じだったんですか?
udasoul:マンハッタンレコードのLEX BOXを使っていて。なんか買う時期なのか、違う規格を買ってたのか?色とか高さとかがバラバラだったりで、でもまあ買い足す感じで収納してましたね
-レコードとの出会い-
Kuma:udaくんはいつからレコードを買い始めてるんですか?
udasoul:高1か高2位ですかね。千葉が地元だったけど、やっぱり渋谷に買いに行ってましたね。地元だと柏のディスクユニオンとか行ってました。上野のシスコとかにも行ってましたね。
PoLoGod.:最初にレコードを買ったのはやっぱり渋谷ですか?
udasoul:一番最初は多分マンハッタンレコード。『REDMAN & METHODMAN/HOW HIGH』ですね
PoLoGod.:悪いですね(笑)
Kuma:その時期って、渋谷でHIPHOPの12インチが一番売れていた頃?
PoLoGod.:いや、多分一番売れていたのはその後ですよ。ONYXの「SLAM HARDER」とかM.O.Pの「ANTE UP」とか。でもまぁ「HOW HIGH」の時もいい時期ですよね。
Kuma:「HOW HIGH」を渋谷のマンハッタンレコードで、、悪い高校生ですね(笑)
PoLoGod.:最初からDJセットを持っていて、DJ志望っていう感じですか?
udasoul:元々はシンセサイザーで。TK(小室哲哉)入りで(笑)
音楽を作るようになったりもしていて。全部TKっぽい曲で。(笑) で、そこから色々聴いてみたいなぁ、と思って聞き始めたのがラジオで、「ワールドダンストラックス」というBAY FMの番組で。DJミックスショーなんだけど、ハウスとかテクノもたくさんかかるんだけど、30分とか全然曲が止まらなくて、、ミックスという方法も知らないから「これ、どんなシーケンスを組んでるんだろう?」って。
Kuma:シーケンスの概念を先に把握していたという(笑)
udasoul:そこでDJミックスというものを初めて知って、違う楽曲をノンストップで繋いでるんだ!シーケンス組んでるんじゃないんだ!って。
Kuma&PoLoGod.:(笑)
udasoul:その時期に、中学時代の同級生のお兄ちゃんから「渋谷に行けばDJセットが揃うらしい」という情報を仕入れて渋谷のPACOに行ってターンテーブルとDJミキサーを買って。その日にマンハッタンレコードで「HOW HIGH」を2枚買いました。
Kuma&PoLoGod.:最初から2枚買いしないでしょ(笑)
udasoul:いや、「2枚買いマスト」って書いてあったから(笑)
Kuma:ちょっと経緯が独特だ(笑)。シーケンスという仕組みを分かってて、その後DJミックスを聞いて、どんなシーケンサーを使ってるんだろう?と思ってそこからDJを知るっていう。。ちょっと不思議な感じ、、、他では聞いたことない(笑)
PoLoGod. : ヒップホップにたどり着くまでが、TKからラジオでテクノのDJミックスに繋がって、そこからヒップホップ、DJを知るみたいなのも独特ですね(笑)
udasoul:貪欲なんだけど情報も無くて教えてくれる人もいないし、独自のルートを辿ってた(笑)
PoLoGod.:そうですね。あの当時は多分雑誌とかラジオとかって情報源としては有力なものとしてあって。でも、よくヒップホップとかレコードに繋がったよね?
Kuma:そこがやっぱり独特でudaくんならではというか、結構いろんなことをすっ飛ばして正解にたどり着いている感じがしますね(笑)
udasoul:でもその「ワールドダンストラックス」ってDJミックスだけではなくて、いろいろなジャンルの音楽がかかってて。ディアンジェロの1枚目とか、この番組で知ったし。そのラジオでいろんな情報を得てました。
PoLoGod.:おもしろいな〜
udasoul:「HOW HIGH」の話に戻るけど(笑) 「HOW HIGH」って『SILVER CONVENTION/FLY ROBIN FLY』使いじゃない? ディスコネタ。で、ハウスとかテクノとか好きだったし、同時にディスコのクラシックの入ったコンピレーションとかも好きで聴いてたりして少し知ってたんだよね「FLY ROBIN FLY」も。だから、「HOW HIGH」聞いた時も、なんだこれ?って。サンプリングということも後で知って驚きましたよ。
PoLoGod.:なるほど、やっぱりちょっと独特で面白いですね(笑) そういうルーツがあるんだね。そこからSOULとかのジャンルに没頭していく経緯には何かきっかけがあったんですか?
udasoul:やっぱりHIPHOPのサンプリングネタかな?でも一番大きいのはBIZ MARKIEのミックステープかな。これ聴いた時「なんだこれ!????」ってなったのが大きかったかなぁ。
PoLoGod.&Kuma:ああ!なるほど!
udasoul:収録曲を調べてレコード買ってね。
PoLoGod.:ご自宅にも名ミックステープがたくさんありますね!このTAPE KINGZ、、、いや、これはTAPE KINGZのブートか(笑)
Kuma:情報が無いってさっき言ってましたが、だからこそこのブート印刷の読めないクレジットから知っていくと。
PoLoGod.:このテープはね。クラシックスを連発して歌いながらミックスしていくっていう最高のDJスタイルですからね
Kuma:じゃあ、ルーツはTKとBIZ MARKIEだ。独特ですね!!
PoLoGod.:何かがおかしいですね(笑)
Kuma:udaくんのDJは何でも上手くこなすし楽しそうにプレイする印象があるけど、そんなルーツも影響しているんでしょうね。所謂CITY POPとかをプレイするのも相当早かった印象がありますね。酔った現場で「”CITY POP”という言葉は俺が作った」って言っていたのも印象的です(笑)
全員:(爆笑)
udasoul:でも相当早かったという自覚もあって、20年くらい前に作ったCITY POPのミックスをマスタリングしなおしてサウンドクラウドにあげていますのでもし良かったら聴いてみてください。
-SSSボックスに飾りたいレコード5選-
PoLoGod.:では、レコードの話になってきたので、udaくんのセレクトを紹介いただきましょうか?
Kuma:SSSボックスのコンセプトとして、”レコードを便利に収納しながらジャケットも飾れる”っていうのがあって、内容は勿論、ジャケットにも思い入れのある5枚を選んでいただきました。
udasoul:そうだね〜1枚目は、『REUBEN WILSON / SET US FREE』です。
PoLoGod.:おおー。BLUE NOTEの名盤ですね
Kuma:最近あんまり中古で見ないですね〜
udasoul:これはやっぱり、サンプリングソースがきっかけだよね。NASのクラシック「ILLMATIC」の中でも一番好きな曲「MEMORY LANE」のサンプリングソースなんだけど、最初はMUROさんの「KING OF DIGGIN’'」で聴いたんだよね。KODの1番のSIDE Bの3曲目かな?
PoLoGod.:Nujabes氏のアートワークの伝説的ミックステープ。
udasoul:NASのアルバムは勿論持ってて、で「MEMORY LANE」のネタがKODのB面に入ってるっていうことも知ってて、、でも当時はタイトルもアーティスト名もずーっとわからなくて、知りたいのにモヤモヤしてて、、
Kuma:BEST KEPT SECRETを喰らったと(笑)
udasoul:そんな時に、僕にとって衝撃的な商品と出会ったんですよ!!これ知ってます?RHYMESTERのDJ JINさんが監修したコンピレーションのCD「SEARCHIN’FOR PERFECT BEAT」
PoLoGod.:これ知らなかった!すごくしっかりした立派な木箱に入ってるね。
udasoul:これ、通販で買ったんだよね。新聞広告で見て(笑)
PoLoGod.&Kuma.:へぇ!!
Kuma:ジャケットに各レーベルのロゴも入っているから、これオフィシャルなんですね。
PoLoGod.:まさかこれで解明したと?
udasoul:そうそう。REUBEN WILSONだけじゃなくて、いろいろ僕の中で解明できて前進したんですよね。
PoLoGod.:なるほど。これが当時のuda君にとってはバイブル的なもので、掘りが加速したきっかけなんだね。
udasoul:そうそう。で、このREUBEN WILSONが自分の中での初めての万越えレコードで、そういう意味でもなんか思い入れがある。大学生の時だったからとても高価な買い物で、でも「あぁこれだー」と思い切って買ったんだよね。
Kuma:ジャケットの状態もとても綺麗ですね〜 !BLUE NOTEは再発や国内盤なんかも多くありますけど、これは再発は出て無いし、未だに高嶺の花ですよ。
udasoul:ジャケットの雰囲気もとても好き。コンピレーションCDのライナーに載ってたジャケットは白黒写真だったからね、カラーのオリジナル盤を見たときは「あったー!!」って嬉しかったのをすごく覚えてる。
PoLoGod.:裏ジャケもすごい味があるね。書き込みがあって、プロモスタンプとか。USのレコ屋の臭いが未だにしみついてるし、長い旅をしてきたんだなぁ、、
Kuma:気になっていたサンプリングソースが判明し、やっと本物が手に入ったみたいな、誰もがわかってくれるであろう一連のストーリーがとてもいいですね。
udasoul:思い入れ込みで1枚目に選ばせていただきました。
Kuma.:HIPHOPクラシック~KING OF DIGGINのテープ~サンプリングソースのJAZZにたどり着くという、やっと我々の知ってる王道が出てきましたね!(笑)
udasoul:(笑)
udasoul:2枚目は『井田リエ&42ndストリート/ストリート・トーク』これも今となっては再発も出てる高額盤ですけど、「RIGHT MELLOW」っていうガイド本を見ながら近所のリサイクルショップで買い漁ってる時期があって、これは100円で、ほんとにこの辺りの、今や高額のレコード達が全部安くて、知らないレコードはもう全部買っちゃおう!! って、まとめ買いした中にこれもあったんです。
PoLoGod.:うぉ〜 夢のある話ですね!
udasoul:これに収録の『ROBERTA FLACK/FEEL LIKE MAKIN’ LOVE』のカバー曲「HIRAMEKI LOVE (FEEL LIKE MAKIN’ LOVE)」がとても素晴らしくて大好き。この日本語カバーがとても優秀で、「FEEL LIKE MAKIN’ LOVE」のカバー最高峰ってことで選びました。
(しばしみんなで聞く)
PoLoGod.:日本語がバッチリはまってますよねー。所謂日本のLADY SOULという立ち位置の超名盤ですが、この辺りのレコードはここ4~5年位で高騰しましたよね。
PoLoGod.:先ほど紹介してくれたガイド本「RIGHT MELLOW」には高騰したものから、未だに安く購入できるレコードも同列に掲載されていて非常に面白いですね。レア盤の羅列ではなく音で判断してセレクトしている純粋な感じで。松田聖子とかも並列に扱ってて。ビギナー向けにもこの本はお勧めかもしれないですね。
udasoul:これがそのガイド本「RIGHT MELLOW」の改訂版です。基本的には文章は同一なんだけど、『流線形』あたりの近年の作品も追加補強されていますね。
Kuma:沢山のブックマーク、マーカーもしてありますね!さすが!
PoLoGod.:最近のサンプリングHIPHOPでの和モノサンプリングブームの流れもあって、海外プロデューサーもこの辺りは注目していたり、再評価にはそういう側面もあると思います。正直”松原みき”とか日本人はこの値段では買わないでしょ?っていうのもあるし。和モノサンプリングの影響も少なからずあるのかなと思ってます。
udasoul:なるほど〜 僕はマーヴィン・ゲイとかスティービー・ワンダーとかが好きだったから、その流れで聞けちゃう「こんな日本の曲があるんだ!」と20年位前に感じてて。その視点も今評価されているポイントなんだろうけど。
PoLoGod.:海外で評価されるのにだいぶ時間がかかった印象がありますね。日本以外の良質な音楽って、プログレなんかもそうだけど世界的に評価されるのは早かったと思うんだよね。
Kuma:なるほどね。先ほどのREUBEN WILSONのレア盤を買った話と対極の、とにかく安く買ったけど今高額になっているという。udaくんの先見を感じる1枚ですね。
(後編につづく)